ブラック企業ユニオンが闘うスタジオ4℃、アニメ制作会社の現状

スタジオ4℃といえば、2019年6月7日公開した劇場アニメ「海獣の子供」のアニメ制作会社として知られています。他にも劇場アニメ「鉄コン筋クリート」が日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞を受賞しています。

この会社で制作進行を担当していた25歳の男性社員がスタジオ4℃を相手取って訴訟を起こして、記者会見をしました。スタジオ4℃は男性に対して535万円もの残業代を支払わなかったそうです。

 

ここで出てくるブラック企業ユニオンとは何のことでしょうか。そして、この男性社員が訴訟を起こした理由、独自に入手したスタジオ4℃の社員の証言も交えてお伝えします。

なぜ男性はスタジオ4℃を訴えたのか

この男性がスタジオ4℃に入社したのは、今から3年前の2016年といいます。新卒で入ったのでしょうか?今が25歳ですから22歳の時です。

この男性曰く、業界に初めて入って右も左もわからない自分をスタジオの同僚、先輩は自分を育ててくれたと。そしてスタジオ4℃にフリーで働いているアニメーターの人たちも皆いいものを作ろうという情熱と志を持つ人ばかりで社内外ともに人には恵まれていたといっています。

 

大作を担当していたこの男性社員は、かなり過酷な長時間労働をしており、月103時間の残業をしたこともあったということです。会社側の主張は、タイムカードの時間は実労働時間ではないという主張だといって、残業代の支払いを拒否しているということです。

しかも社内には自分よりも長時間の労働をしている社員もいる、しかも低賃金で。自分が声を上げることによりアニメ業界の劣悪な勤務状況を変えることができれば、というのが今回訴えた経緯ということです。

 

会社には何度か残業の未払いを訴えたが聞き入れてくれなかったため、たまたまブラック企業ユニオンがある会社と闘っているのをみて門をたたいたとのことです。

スタジオ4℃社員、元社員の証言

スタジオ4℃は、スタジオジブリで「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」のプロデューサーを務めた田中栄子がアニメーターの森本晃司と佐藤好春と設立した会社です。田中栄子は代表取締役を務めていて、社員数は現在45人(2019年時点)います。

 

会社の労働条件はどのようなものだったのでしょうか。社員の証言を入手したのでお伝えします。

就労時間は11:00~22:00までで、給料は年齢から0~5万円を引いたくらいということです。これはアニメ業界では平均的な条件のようです。社員同士は仲が良く、特に社長が女性なので、産休や育児と仕事の両立にも理解を示す環境にはあるといいます。

 

ただ、福利厚生がなくて、健康保険や厚生年金にがないため結婚するくらいの年齢になるとみんな辞めてしまうそうです。これには社員みんなが不満を持っていて、毎年会社に要望を訴えていても全く改善されないということです。

辞めてしまう社員が多いので、平均年齢は若くて仕事もすぐに回ってくる、やらせてもらえる環境にはあるということです。

先ほどの男性社員が言っていたように、社員同士の仲は良くてすぐに打ち解ける雰囲気のようです。

 

しかし、田中栄子社長がワンマンのため気に入られることが必要で社長のさじ加減で全てひっくり返ってしまうそうです。社長の営業力がないため映画が世に知れ渡ることがないと言っている社員もいました。

 

みんな共通して言っているのは給料と福利厚生の悪さです。一人の社員は期待する方が間違いと。これもまたみんな共通して証言しているのが、好きでなければ続けられないということです。みんなアニメーションが好きで、完成した時の達成感と感動のためにやっていると。

 

また、多くの社員の証言にあったのが、会社の部門の中でも制作進行が一番労働時間が長いということです。ただ、社長と一番近い位置にある部署なので、気に入られたり仕事ができれば評価が高くなるようです。

今回訴えた男性はまさに制作進行なので、一番忙しい部署で労働していたことになります。

ブラック企業ユニオンとは何?

ブラック企業ユニオンとは、2014年に設立した日本のブラック企業に働く労働者を救うために発足しました。

現在は名前を総合サポートユニオンと改め、その支部は①ブラック企業支部のブラック企業ユニオン、②私学教員支部の私学教員ユニオン、③介護・保育支部の介護・保育ユニオン、④エステ支部のエステ・ユニオン、⑤仙台支部の仙台けやきユニオン、⑥ブラックバイト支部のブラックバイトユニオン、⑦個別指導塾支部の個別指導塾ユニオンの7支部あります。

 

代表は青木耕太郎といい、東京大学大学院在学中です。ブラック企業ユニオンは現在も多くの企業と闘っており、ウーバーイーツ、ジャパンビバレッジ、人形制作会社スタジオノーヴァ、クロネコヤマトなどと団体交渉を続けています。

 

総合サポートユニオンは個人でも加入できるので、今回訴えた25歳男性社員のような場合でも大丈夫とのことです。

総合サポートユニオン

加入金:1,000円
組合費:月額1,000円/学生300円

※組合費は、組合の運営費(事務所家賃・スタッフ交通費などの経費)として使わせていただきます。組合員のみんなで総合サポートユニオンを支えていくという趣旨でいただいております。

※組合からの脱退は加入と同様、自由にできます。

引用:総合サポートユニオンHPより

 

アニメ制作会社の過酷な現状

今回訴えた男性も言っているように、アニメ制作会社全体がこのような劣悪の労働条件の中にいるようです。けしてスタジオ4℃が特別ではなく、もっと条件の悪い会社もあるのです。

 

有名アニメーターの小川みずえさんも自身のTwitterで、

他にもフリーアニメーターの新井 淳さんも

日本国内のみならず、世界中で評価の高い日本のアニメーションをこれからも盛り上げていくためにも、若いクリエーター達の労働環境を良いものにしてほしいと切に願います!

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