WTOアゼベド事務局長が退任の理由!世界貿易機関とはわかりやすく

WTOのアゼベド事務局長は5月14日に、任期満了を待たず8月末で辞任すると表明しました。

 

WTOの事務局長が任期途中で退いてしまうのはこれが初めてのことです。

一体、アゼベド氏はどういう考えでこういう結論に至ったのでしょうか。

WTOについても詳しく解説していますので、この一件に関する理解を深めていきましょう。

そもそも、WTOとは?

そもそも、WTOとは何なのでしょうか。

WTOとは『World Trade Organization』の略称で、日本語では『世界貿易機関』といいます。

WTOはその名の通り、貿易に関係する国際機関です。

 

全加盟国が同意する規則の中で貿易が円滑に行われるように支援したり、政府間の紛争を解決したりします。

他にも、貿易についての交渉を行うための話し合いの場を設けたりもします。

WTOには加盟国・地域同士の貿易のよる紛争を解決するための準司法的な制度があり、そのために「自由貿易の番人」と呼ばれます。

ところが2019年12月、紛争処理を行う上級委員会の委員が欠員になってしまいます。

 

上級委員会の審理には最低でも3人の委員が必要になるのですが、WTOに対して不信感を抱いていた米国がこれに反対します。

 

米国は中国の知的財産権などの侵害に対するWTOの対応の不徹底に不満を募らせていました。

 

米国の反対によってWTOは任期の切れた委員を補充することができず、12月11日から委員が1人になってしまいます。

 

これによってWTOは「機能不全」に陥り、案件の審理に必要な合議体を組織することができなくなってしまいました。

 

こうした「機能不全」に陥っていた中でのアゼベド事務局長の辞任は、あまりにも衝撃的なものだったのです。

 

WTOのアゼベド事務局長はなぜ辞任してしまうのか?その理由とは

では、そんなWTOの事務局長であるロベルト・アゼベド氏はなぜ今回、任期の満了を待たずに辞任を表明したのでしょうか。

アゼベド事務局長は、辞任の理由を健康上の問題・政治的な理由ではなく、「個人的な決断」であると強調しています。

 

アゼベド事務局長は辞任の理由について、新型コロナウイルスの感染拡大のために今年の開催が見送られた最高議決機関の閣僚会議を挙げました。

 

アゼベド事務局長は、この閣僚会議が来年の6月に開催される見通しであるとしました。

しかしその場合、閣僚会議のための準備と後任の事務局長の選任の手続きが重なってしまうのです。

アゼベド事務局長はこのことを好ましくないと判断し、辞任の決断をしたのです。

それ以外にも、上で述べたWTOの「機能不全」に対する批判によって苦しい立場となっていたのも背景にあるとされています。

アゼベド事務局長は辞任表明の際に、「WTOの最善の利益につながると確信している」としています。

 

この辞任表明によって、加盟国はすぐにでも後任の事務局長の選任に取り掛からなければならなくなりました。

 

米通商代表部代表のロバート・ライトハイザー氏は後任選定に参加することを明らかにしていますが、後任を探すのは「困難」であるとしました。

 

トランプ大統領は今年1月に、機能不全に陥ったWTOの改革について「非常に劇的なことを実行する」としましたが、具体策は見いだせていない状況です。

 

また、新型コロナウイルスが広まってからは、WTOの活動そのものが停止しています。

 

WTOが「機能不全」に陥り、大いに混乱している状態でのアゼベド事務局長の突然の辞任表明。

 

後任の事務局長は早いうちに決めなければならないし、WTOの「機能不全」も未だに改善されていません。

 

事務局長選任の目処はなかなか立ちそうにないし、機能不全に対する具体的な解決策もない。

 

このままこの状態が長期化すれば、WTOの存在意義そのものが問われることになりかねません。

 

踏んだり蹴ったりのWTO

WTOは、2019年12月の「機能不全」を始めとして、新型コロナウイルスやアゼベド事務局長の突然の辞任表明と踏んだり蹴ったりの状態です。

WTOの「機能不全」によって紛争案件は増加し、その内容も複雑なものになってきています。

WTO自体の改革は確かに必要ですが、我々はWTOを失ってはいけません。

 

WTOは、貿易を巡る紛争を、法に基づいて平和的に解決することのできる国際機関です。

この国際機関が誕生した背景には、かつて貿易による国家間の摩擦が第二次世界大戦の一因となったという反省があります。

同じ過ちを繰り返さないために、紛争を解決し、貿易を円滑なものとするWTOが作られたのです。

ですから、WTOは私達の世界の平和のためには必要不可欠なものであるといえます。

 

WTOにおける問題は、それに加盟する国全ての問題でもありますから、全ての国が協力してこの問題に取り組んでいく必要があります。

私達は、なんとしてでも、この危機を乗り越えていかなければならないのです。

 

 

今回はWTOのアゼベド事務局長の辞任表明の理由や、WTOがどういうものであるかについて解説させていただきました。

「WTO」という名前、「WHO」に似ていると思いませんか?

新型コロナウイルスの感染拡大が問題になっていますから、私は一度「WHO」と見間違えてしまいました(笑)。

 

「WTO」と「WHO」、役割こそ違いますが、どちらもよりよい世界の実現のためには欠かせないものです。

この機会に、こうした国際機関が作られた時代背景や理由について調べてみるのも面白いかもしれませんね。

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