LIXILグループはホームセンターを運営している上場子会社、LIXILビバを売却する方針を固めました。
ホームセンター大手・アークランドサカモトが実施するTOB(株式公式買い付け)に応じ、53パーセントを保有するLIXILビバの株を全て売却するとのこと。
買収金額は1000億円を超える見込みだといいますが、なぜこんなことになったのか、理由が気になりますよね。
今回は、LIXILがビバホームを売却した理由とサカモトが買収の理由について詳しく解説していきます。
LIXILグループの上場子会社・「LIXILビバ」とは?
一応、LIXILビバを知らない方のために、軽く解説させていただきますね。
LIXILビバは住宅設備大手「LIXIL」の子会社です。
大手ホームセンター「ビバホーム」や、ショッピングモールである「ビバモール」などを経営しています。
LIXILビバは1977年、トーヨーサッシ(現・LIXIL)のホームセンター「ビバホーム」として創業を開始しました。
2020年現在、北海道や九州に至るまでホームセンター「ビバホーム」を展開しています。
ビバホームを核店舗とする「ビバモール」も、依然として経営しています。
2020年3月期の売上(年商)は約1885億円となっていますね。
ついでに、今回LIXILビバを買収する「アークランドサカモト」についても解説しておきます。
アークランドサカモトは1952年、金物販売業として創業を開始し、1972年「ホームセンタームサシ」1号店を出店しました。
主に北陸地方・東北地方を中心に、関西地方にも店舗展開を行っています。
北海道では「ジョイフル本田」と住宅設備企業「キムラ」との合併により「ジョイフルAK」の運営に関わっています。
また、子会社は日本を中心に東アジア各国で多彩な飲食店を経営しています。
具体的にはカツ丼店の「かつや」、肉めしの「岡むらや」や唐揚げの「からやま」にカレー専門店の「camp」など。
2020年2月期の売上(年商)は約1126億円となっています。
LIXILグループ、LIXILビバ売却の理由はなぜ?
そんなLIXILビバですが、なぜ、今回売却されることになったのでしょうか。
理由は一体なぜなのか、気になる人も多いと思います。
実は、LIXILビバの売却する方針であったことは以前から報じられていました。
その発端となったのは、LIXIL創業者である潮田洋一郎会長(しおた よういちろう・現在は解任)がLIXILをMBO(経営陣による買収)して上場廃止にしたことに起因します。
LIXILの上場を廃止し、日本を捨ててシンガポールに本社を移転する方針を発表したのです。
これに対し、住友商事出身の瀬戸欣哉(せと きんや)氏が強く反発しました。
瀬戸欣哉氏はプロ経営者として社長兼CEOに迎えられましたが、2018年10月、潮田洋一郎氏から解雇されています。
この反発は、瀬戸氏が社内での巻き返しを図ったものとみて間違いないでしょう。
潮田洋一郎会長率いる経営陣(会社側)と瀬戸欣哉派に割れて、会社経営の主導権を巡って激しく対立しました。
それから時は流れ、約8ヶ月後の2019年6月に行われた株式総会で潮田洋一郎氏は解任され、瀬戸欣哉氏が株主の支持を受けてCEOに返り咲きました。
瀬戸欣哉体制になってから、住宅設備メーカーの中で「小売店」という異色の業態であったビバホームを疑問視する声が上がります。
ビバホームは潮田洋一郎氏が力を入れていた事業の一つでしたが、瀬戸欣哉体制になり、最終的には売却する方針が固められました。
長々と書きましたが、要するにLIXILのお家騒動です。
CEOが変わり、経営方針が変化した結果、異色の業態であったビバホームが売却されることになったということです。
「理由はなぜ?」と聞かれたら、そう答えてあげてください。
アークランドサカモト、LIXILビバ買収はなぜ?その理由は?
次は、アークランドサカモトが買収に踏み切った理由はなぜか、ということについてです。
現在、新型コロナウイルスが多くの業界に多大な影響を及ぼしています。
ホームセンター業界では、テレワークに対応した商品・長時間家庭で過ごすための商品を求める客が増えており、その役割が改めて見直されています。
こうした中で、新潟県に多くの店舗を構えるアークランドサカモトは、首都圏などに多くの店舗を持つLIXILビバに目をつけました。
LIXILビバを買収することで、首都圏での事業を一気に拡大しようと考えたのです。
LIXILグループはホームセンター事業から撤退して、本業である住宅設備関連の事業に投資を集中しようとしていましたから、都合が良かったのです。
ホームセンターを手放したがっていたLIXILグループと、ホームセンターを欲しがっていたアークランドサカモトの利害が一致したというわけです。
今回の経営統合によって、アークランドサカモトの年間売り上げ高は約3000億円となります。
これによって、アークランドサカモトはDCM・カインズ・コメリ・コーナンに続く国内ホームセンター業界第5位の地位を獲得することになります。
なんだかワクワクしますね。
アークランドサカモトは、今回の経営統合によって店舗の展開を首都圏に伸ばし、勢力を大きく拡大するでしょう。
LIXILグループも経営体制の変化によって、会社にも新しい風が吹くでしょう。
どちらも、これからの活躍が期待されます!
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