ゾンビゼミとは何?日本や人間への危険性は?害はあるのか?

この記事ではゾンビセミとは何なのか、日本にもいるのか、人間への害や危険性はあるのかといったことについて解説していきます。

時は既に八月、梅雨も次第に開け、本格的な夏の到来を感じられる時節になりました。

夏といえば海やスイカなど、風物詩と呼べるものが多く存在しますが、日本では「セミ」もその中の一つであるといえるでしょう。

この記事ではそんな「セミ」にまつわる話として、「ゾンビセミ」について解説させていただきたく思います。

ゾンビセミとは何なのか、詳しく見ていくことにしましょう。

ゾンビセミとは?

では早速、ゾンビセミとは一体何なのかを解説させていただきます。

そもそもこの「ゾンビセミ」という言葉は、アメリカのウェストバージニア大学の研究チームが学会誌に発表した、ある研究結果に端を発した言葉です。

その研究結果というのが何なのかというと、「病菌に感染して心身を操られ、文字通り『ゾンビ』と化して感染を拡大させるセミの集団」です。

その病菌は「マッソスポラ」(Massospora)と呼ばれ、幻覚作用を引き起こすマジックマッシュルームと同じ成分を持っています。

ウェストバージニア大学の研究チームは、このマッソスポラ菌が宿主に感染すると、まさに「B級ホラー映画」のような症状を引き起こすと発表しています。

マッソスポラ菌の症状をふまえて、この病菌に感染したセミのことを「ゾンビセミ」(Zombie cicadas)と呼んでいるわけですね。

セミに感染したマッソスポラ菌は、生殖器と尾部、そして腹部を食い落として菌の胞子と入れ替えます(胞子と入れ替わった腹部は「消しゴムのように摩耗していく」とのこと)。

感染したセミは、体のほぼ三分の一がマッソスポラ菌の胞子に入れ替えられているにもかかわらず、そのまま動き続けます。

ここからは宿主を殺すのではなく、生かし続けて操ることで、胞子を最大限に撒き散らす狙いが見てとれます。

研究主任のマシュー・カッソン氏はこうしたマッソスポラ菌の特徴を「昆虫を殺す菌としては極めて特異だ」としています。

ゾンビセミは生殖器がすり減り、繁殖機能を失っているにもかかわらず、他のセミと交尾を行おうとします。

マッソスポラ菌がオスのセミを操り、交尾を誘うメスの羽ばたきを模倣させる、ということもあるといいます。

繁殖機能は失われているのにどうしてこういった行為を行うのかといえば、偏にマッソスポラ菌の感染を拡大するためです。

他のセミと接触させることで、マッソスポラ菌自身が現在のポストから別のポストへ移動するといいます。

マシュー・カッソン氏によると「オスからメス、オスからオスとどちらのルートでも移動可能である」とのこと。

ゾンビセミたちはこの方法だけでなく、飛び回ったり、木の枝の上を歩いたりする際にも胞子を撒き散らします。

マシュー・カッソン氏はその時の様子が、容器から塩が振ってくるかのように見えることから、「空飛ぶ死のソルトシェーカー」と呼んでいるといいます。

感染したセミは六月にウェストバージニア州で発見され、マッソスポラに感染したセミが発見されたのはこれで三度目でした。

ゾンビセミは日本にもいる?


前の見出しではゾンビセミとは何なのか、ということについて解説させていただきました。

この見出しでは、ゾンビセミを生み出すマッソスポラ菌は日本にも存在しているのか、ということについて解説させていただきます。

こうしたグロテスクというか、特異な生物を見ると、多くの現代っ子は「怖い」という感情を抱くのではないでしょうか。

特にセミは日本では風物詩ともいえる昆虫ですから、こうしたニュースに不安を覚えてしまうのも無理からぬことだと思います。

ゾンビセミを生み出すマッソスポラ菌ですが、分布を見ると「日本・カナダ・アメリカ・ホンジュラス・アルゼンチン・ブラジル・チリ」となっています。

分布を見る限りでは、日本にもゾンビセミを生み出すマッソスポラ菌も存在しているようです。

ですが、日本でマッソスポラ菌が発見された例は一九五一年の都内の記録と、一九九九年の小笠原の記録二つの記録があるのみです。

標本も不足しており、種までは同定されていません。

日本にもいるかもしれない、というくらいに理解しておくと道端でゾンビセミを見た時に驚かずに済むかもしれませんね。

もしかするとあなたの家の裏にもゾンビセミがいるかもしれませんから、一応、念頭に置いておくとよいでしょう。

ゾンビセミ、人間への害や危険性はある?

最後に、ゾンビセミの人間への害や危険性について解説させていただきます。

研究主任のマシュー・カッソン氏は、ゾンビセミが人間を危険にさらすことはないと強調。

現時点でセミ全体の個体数に深刻なリスクを及ぼすこともなさそうだ、と推定しています。

ひとまず、ゾンビセミそれ自体に人間への害や危険性はないと言ってよさそうです。

上のほうで少し触れましたが、マッソスポラ菌はマジックマッシュルームと同様の成分を有しています。

この成分の名前は「シロシビン」というのですが、これまで特定の植物内でしか発見されておらず、キノコ以外の菌から見つかったのはこれが初めてのことです。

他にも「カチノン」と呼ばれる、特定植物に含まれる覚せい剤の一種である成分が検出され、これもキノコ以外から見つかったのは初です。

「カチノン」「シロシビン」はゾンビセミの洗脳の主原因となる物質ですが、マシュー・カッソン氏によれば「研究次第で人のための医薬品として活用できるかもしれない」とのことです。

ですが、マッソスポラ菌は研究所内で育てることができず、現状は感染したセミに頼るほかないそうです。

もしかすると、将来、このゾンビセミたちが何かの役に立ってくれるかもしれませんね。

■まとめ

いかがでしたでしょうか?

ゾンビセミとは何なのか、日本にもいるのか、人間への害や危険性はあるのかといったことについて解説させていただきました。

ツイッターのトレンドにもなっていましたから、知っているという方も多いのではないでしょうか?

あんなに恐ろしいゾンビセミにも、もしかしたら医薬品の役に立つかもしれないということで、虫は見かけによりませんね。

ですが、普通のセミに混じってあのゾンビセミが飛んでいたら、やっぱり怖いですね。

「見かけで判断するな」とはよく目にする箴言でありますが、それでも怖いものは怖いのです。

以上、虫嫌いの筆者が綴る、ゾンビセミの解説でした。

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